梅雨時はうっとうしい気もなるが、植物の気持ちになってみると、ありがたい天からの慈雨ということになろう。
夏の強い日差しに耐えるための体力つくりの期間か。
6月になると花菖蒲が咲く。あやめ園も各地で開かれる。
あやめ園は実際行ってみると、あやめは終わっていて花ショウブがいっぱい咲いている。
花菖蒲は、江戸の昔から「江戸系」と「肥後系」等があり、色も形も多彩である。
東北では 長井のあやめ園 が名高い。「長井古種」がある。
宮城県では みなみかた花菖蒲の郷公園 があり、ここも古種を栽培している。
栗原市の一迫にもあやめ園がある。一迫山王史跡公園あやめ園 が正式名称。私が一番好きなあやめ園である。
(山王史跡についてはまたの機会に。)
菖蒲、あやめ、杜若 ( かきつばた ) の区別はそれほど難しくない。
一番分かりやすく覚え易いのは、花の中心に着目する。
花菖蒲は、花弁の弁元に黄色い目型模様があるのが特徴。
あやめは、花弁の弁元に網目状の模様。
杜若は、花弁の弁元には白い目型模様。
花期は5月中旬から6月にかけて、あやめ、杜若、花菖蒲の順。
あやめは水はけの良いところに咲く。
“ いずれあやめか杜若 ”
どちらも甲乙つけがたいほど美しいという意味であるが、美人の表現に用いる。
私は、料亭○○楼○○亭の美人姉妹を思い起こす。向山を望み、広瀬川の清流も望める風通しのいい部屋で飲みたいものである。
近頃はトンとご縁がない。
一初 (いちはつ)というあやめの一種がある。あやめの中で一番先に5月頃から咲き出す。
火災を防ぐ力があるというので、昔はかやぶき屋根の上に植えられた。中高年の男性が好む。
正岡子規の哀切極まりない歌がある。
いちはつの 花咲きいでて 我目には 今年ばかりの 春ゆかんとす
(和)