マンジャラク、マンジャラク

やることもなく手持ち無沙汰なので、パソコンに向かって、心に浮かんでは消えるとりとめもないことを、これといったつもりもなく書いてみましょう。

『徒然』は音読みにすると"トゼン"となります。仙台弁で、"トゼン"とは、「やることがなくて退屈だ。一人ぼっちだ。」という意味です。

「今トゼンしてたんで、アンダ来てよかった。」というふうに使います。私の子供のころの祖母の言葉です。

この言葉は仙台が誇る古い言い方でしょう。兼好法師につながる言い方ですからね。

また思い出すのは、私がまだ子供の頃買い物で店に入っていくときは
"モウシ"と言いました。
「申し」とは今考えると古い言い方ですね。

外国語の様な言葉もあります。
"へライン"という言葉です。「こちらへおはいりなさい」という意味です。

「こっちゃへライン」と使います。

【HEREIN】とは、ドイツ語で「お入りください」という意味です。
その昔、東北大学の先生がドイツ人の民俗学の先生を仙台の農家に案内したそうです。そこで農家のおばちゃんは、明瞭に「へライン」と言って先生を家の中にいざなったそうです。
それを聞いて、両先生は「さすがに仙台は学の都だ、農家の夫人もドイツ語を知っている」と驚いたそうです。

"イズイ"

これは仙台人にとって使うのは簡単ですが、説明するのが難しい言葉です。
しっくりこない、フィットしない、居心地が悪いというようなときに使います。
「今度の新しいブラウスは肩の所がイズイ」「新幹線の三人掛けの真ん中のB席は、両隣の人の肘が触れてイズくてしゃね。」

"シシャマス"

これも説明するのが難しい言葉です。手におえない、持て余す、対応が大変だった。などの意味です。
昔が私のいた会社では、「あそこのディーラーさんの倉庫はセールスカーから遠くて、一人で30ケースも運んで、シシャマシタ。」

イズイもシシャマスも仙台弁なので東北の他の地域では通じません。
会社に入った当時の私は世間知らずで、仙台弁は東北の標準語だろうと思っていましたが、鶴岡の女性に「イズイって分かりません」とか言われたし、山形市出身の人は、「仙台に来てシシャマスは面白くて、興味深かった。」と言われました。

仙台の人は言語不明瞭で、活舌の悪い人が多く、また地域的に高低アクセントを使わない地域なので、単語表現に苦労します。

野菜の茄子と果物の梨は仙台弁で発音すればどちらも「ナス」です。
そこで、仙台の人は茄子を「ハダゲ(畑)ナス」、梨を「キ(木)ナス」と言って明瞭に区分します。

さらに、仙台に「3ナス」があります。

"ボゲナス"
"ホデナス"
"シャガラナス" です。

「ボゲナス」と「ホデナス」はなんとなく分かるでしょうから、「シャガラナス」を説明しましょう。

"シャガラナス"とは、「口数が多くて、軽薄で、思慮分別に欠ける中年の女性」のことを言います。「あの家の嫁は“シャガラナス”だ。」
そのような女性を表現するにぴったりな言葉であります。

 

近頃は東日本大震災の余震ということで土曜日の夕方に地震が多いですね。
そんな時の仙台の神頼みの呪文を披露しましょう。

『マンジャラク、マンジャラク』と唱えます。

地震のみならず、怖いことがあったら「マンジャラク、マンジャラク」と唱えて下さい。

宮城県と福島県の国境に萬歳楽山(まんざいらくさん)という山があります。
萬歳楽山はヤクヤミの山、地震や災害除けの山として東北全土はもちろん広く関東地方まで「マンザイラク、マンザイラク」の 呪文とともに広く信仰されてきた山です。(国見町ホームページより転載)

この山は近頃パワースポットとして人気があります。

雅楽には『萬歳楽』という楽曲があり、古来よりめでたい席で、舞と演奏が披露されてきました。
雅楽の話と萬歳楽山の開山は誰かなどはまたの機会とします。