二条后の春のはじめの御歌
雪のうちに春はきにけりうぐひすのこほれる涙いまやとくらん
(古今集 巻第一 春歌上)
雪がまだあるというのに立春が来た。鶯の凍った涙も今はとけているでしょうか。そろそろ鳴くでしょう。
2020年の立春は2月4日です。
まだまだ寒いときです。
恋多き二条后は、昔の彼氏を思い出して涙を流したのかもしれません。いい歌だと思います。
二条后(藤原高子)は、平安時代前期、清和天皇の女御(にょうご)です。
入内(じゅだい)前の在原業平(ありわら の なりひら)との悲恋が有名です。
私は、春の兆しは、いや増す光のうちに感じられます。
2月になると日の強さが違ってきて日も長くなり、外は寒くても、「光の春」だと思わされます。
〇 ふたご座
空を見れば、おおいぬ座の「シリウス」、こいぬ座の「プロキオン」、オリオン座の「ペテルギウス」が冬の大三角形を作っている。そのそばに、ふたご座が姿を現します。
2月も半ばを過ぎると、天頂の近くに仲良くならんで輝いている二つの明るい星が目につきます。
ギリシャ神話の双子のカストルとボルックスです。すぐに分かります。
最後に昔の女流歌人の歌をもう一首。
山ふかみ春ともしらぬ松の戸にたえだえかかる雪の玉水
(式子内親王)
あまりにも山深いため、春が来たことすらよくわからない、そんな山奥の小屋の松で出来た戸にとぎれとぎれに雪解け水が玉のように落ちかかっている。(現代歌人の馬場あき子訳)
山奥の小さな庵の戸に雪解けの雫が、という表現が実に美しく表現されていると感じます。
式子内親王の歌を多く読んであるわけではありませんが、彼女の歌は個性的な詠嘆の歌が多くあると感じます。
式子内親王の歌のことをもうちょっと書きたい気もしますが、メインテーマの “ 立春 ” とあまりに離れてしましますので、この辺で。
和