
(せんだい旅日和 http://www.sentabi.jp/ より)
広瀬川の旧国道4号線に架かる千代大橋の下流で名取川との合流点あたりまでが私のフィールドです。
我が家は広瀬川の北側(若林区)なので左岸の堤防を越えて河原に降りて行きます。
堤防の上からは、天気が良ければ蔵王連峰、二口山塊、船形連峰、泉ヶ岳が連なっているのが見えます。
天気が悪いと、手前に太白山や愛宕神社の山が見えます。
“おお絶景だ”、とうれしくなります。
広瀬川もこの辺まで来ると川幅は広いですが水量は少ないです。
普段は上流の大倉ダムが水量を調節しているからでしょう。
千代大橋のすぐ下流は中川原緑地として整備されていて広いグラウンドがあります。
犬(ゴールデンレトリーバー)を飼っていた時は、この辺を連れて歩きましたが、今はグラウンドの方には行かず、直接川岸まで接近します。
握りこぶしぐらいの石の河原です。
萩やススキ等の草木が多いのですが名前はほとんどわかりません。
川の近くからやみくもに歩くと出られなくなります。その時は来た道を戻りましょう。
夏にはアユ釣りの人がいます。たも網の人もいてドボンドボンと網を打っている音が合聞こえることもあります。
この辺の河川敷は建設省から河川敷を借りたのでしょうか、畑が広がっています。年中何か作業をしています。
夏が近づくと、ヨシ原に オオヨシキ が ギョギョシ、ギョギョシ となくようになり、ツバメが舞い、対岸の深いブッシュでは夏一番の歌い手のクロツミムギが鳴き出します。
ヒバリは、さえずりながら天高く昇っていき、一直線に石のように急スピードで舞い降ります。 “ あぶねごど ” といつも思います。
なに気なしに上空を見るとハヤブサが旋回していることがあり、何とか狩りの場面に出くわしたいものだと思いますが、なかなかそういう機会はありません。
ずっと下手まで来ると「水道橋」があります。
橋の上を渡って対岸の飯田団地(太白区)の方に歩いて行けます。
対岸を下流に行くとそこは名取川との合流点に出ます。
以前はカワセミの営巣する生態系の豊かな所でしたが、高速道路の橋脚ができて見る影もありません。
したがって、私は橋の上から、川やその辺りの草木も愛でますが、対岸には渡らなくなりました。
秋も深まったころ、橋の上から川面を注意深く見ていると、鮭が上流を目指して遡っていくのが見えます。
また、アユは、「落ちアユ」となって川を下っていくのですが、それを狙って黒盗賊の一団、カワウの十数羽が夜明けとともに飛んで来てのアユを残らず食べてしまいます。合流点にある高い木がねぐらの様です。
合流点の左岸は日辺(ニッペ)という土地です。
何か外国語の様ですが、仙台市の広報の話では「ニッペ」という地名はアイヌ語で「川が合わさる場所」という意味だそうです。
私は朝の4時に起て、早朝散歩をしています。
私の住む上飯田の西の端から東の端まで通り抜け、上飯田の部落もかなり大きいのですが、次の今泉という部落を抜け、日辺の部落に入り、日辺の南端から堤防に出ます。
ある初夏の日、耕作地でむくっと起き上がって動物がいました。
尻尾の長さからすぐにキツネだと分かりました。
最初の時は気が動転して、自らに“動くな、動くな”と命じ、じっと立っていました。
向こうでも私をしげしげと見ていました。しばらくすると道路沿いに下流の方に歩いていきました。
その時になって、初めて私がスマートフォンを持っていることに気づきました。
雨の降った後だったので道路に足跡があるようでしたが、キツネの毒(エキノコックス)のことが頭にありましたので近づきませんでした。
幸運にもその後4回、キツネを見る機会がありました。
今度は落ち着いて動画や写真を撮りました。
よく映っていて、尻尾が長いシェパードとの見間違いではありません。
20メートルぐらいで見つけたときはもっと近寄ろうと堤防の崖を下りましたが、やはり野生動物です。
下り終わって私が顔を上げた時はキツネは離れていました。それでもじっとこちらを見ていました。最後に見たのは秋に入ってからです。
上流からピョンピョンと跳ねて水道橋の橋脚のところまで来ました。
尻尾はだいぶ白くなっていました。
冬が来て獲物が少なくなり寒くなっても、何とか生き延びてもらいたいものです。
(和)